【切手デザイナーの仕事】間部香代

単行本・文庫本

サブタイトルは「~日本郵便 切手・葉書室より~」

子どものころから、郵便が届く瞬間が楽しみだった。

「♪あか〇ン先生~~、しんけ~~ん〇ミッ♪」
というCMでお馴染み(今もなのだろうか?)の学習セットを毎月届けてもらっていた。

あの学習セットには当時、勉強以外のことを話題にした雑誌もついていた。
私はその雑誌を読むのがとても好きで、特に文通相手募集のコーナーをよく読んでいた。
何度か勇気をだして、コーナーに載っていた宛先に手紙を出した記憶もある。
そして、そのコーナーをきっかけに、
手紙のやりとりをしたり実際に遊んだりしたことがある友人が、今もたった一人いる。


学校から帰ってくる頃には、
「今日こそはあの子から、またお返事届いているかな?」
とソワソワしたし、
手紙を読んでいるときは本当にその友人とお喋りしているような気持ちになったものだ。

学生時代も今も、間違いなく、私のこころの支えになっている人である。

そういうわけで、郵便ポストに何か投函された音が聞こえてくるのが、
現在進行形でとても楽しみである。

友人たちからいただくお手紙や葉書には、
必ず、切手が貼られている。
その切手は毎回絵柄が絶対に違っていて、
字ももちろんそうだけれど、
切手も、相手の人柄がとても出る部分の一つだと思っている。

毎回発行されたばかりの切手を貼って、楽しませてくれる人。
相手の好きなものの切手(或いは住んでいる地域の観光地や食べ物の切手)を使って、
「自分の好きなものは、こういうものだよ。」と教えてくれる人。
私の好きなものを手紙から読み取ってくださって、
「KANAさんの好きそうなものが切手になっていたので使ってみました。」と
私自身のことを考えてくれる人。
はたまた、切手の周りにイラストを描いて、
切手を含む宛名面そのものを一枚の絵に仕上げてくださる人。

そういう、自分を含めた様々な感性をもった人々の
いろいろな感情を伝えてくれるものの一つに、切手はある。

『その切手たちは、いったいどういう人たちが、
どんなことを思って、こんなに様々な切手をデザインしているんだろう?』

そんなことを私は長年ぼんやり思っていたが、
この本は、まさにその疑問をいろいろな角度から切り取ってくれていた。
メインは切手デザイナーさんへのインタビューだが、
切手についての基本知識?(こんな絵柄があるよ・こんな風に印刷されるよ等)
も豊富に載っていて、何度読んでも飽きない。
意外なところからヒントを得て切手をデザインされている方もいらっしゃって、
「なるほど、私もこんな視点をもちたいな」と思ったりもした。



みなさんにもきっと身近であるだろう、切手。
是非一度、本を開いて、切手の世界に没頭してみて欲しい。

『ひとりの作家が日本郵便のドアを叩き、丁寧な取材から導き出した、
切手デザイナーたちの想いと仕事。
切手やデザイン、印刷、紙ものが好きな人は必読です。
一見すると、遠い存在にも思える珍しい職業ですが、
その働く姿には多くの人が共感できるストーリーが詰まっています。
毎日仕事と向き合う、すべての働く人に贈る1冊です。』

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