【[新世界]透明標本】冨田伊織

単行本・文庫本

透明な世界。液浸標本の美しさ。

New World Transparent Specimens

ーーー『透明標本』
   特殊な薬品につけることで「筋肉を透明化し、軟骨を青く硬骨を赤く染色する」という、
   骨格研究の手法
   壊れそうなほどか細い骨でも、生物が生きていたときの位置のまま、
   立体的にその骨格を観察できる。ーーー

標本と聞いて、どんなものを思い浮かべる?

自分は正直言って、今まで標本というものに特に興味はなかった。
子どものころに、何度か「骨格標本」というものは見たことはあったが、
ただそれだけだった。
「生き物の骨がただ展示してあるなんて、生き物さんもかわいそう。」と
思ったことがおそらく一番の要因だが、
それでもただの1人の女児として、生き物の骨はなんだか怖くて気味が悪かったのだ。
リアルな骨よりも、教科書や図鑑に載っている骨のイラストだけで十分だった。

この、『透明標本』という名の『液浸標本』に出会うまでは。

『[新世界]透明標本 New World Transparent Specimens』というものは、
著者の冨田伊織氏の登録商標だそうだ。
↑にも載せてある通り、現在、書籍はⅡまであるらしい。
2008年に行われたデザインフェスタvol.27に標本を初出展して以降、
ニューヨーク・上海・ソウルなど、海外にも出展した、と奥付にある。
なんと今では、大型の雑貨店や冨田氏のWEBサイトでも標本が販売されているそうだ。

この本は、そのほとんどが写真で構成されている。
生き物の名前と、その標本の写真だ。
そして、ごくたまに、ほんの少しだけ説明文が載っている。

自分は本物を、静岡駅からすぐのデパート、松坂屋の7階にある、
スマートアクアリウム静岡で初めて見た。
とても衝撃を受けた。
生き物だから当たり前なのだけれどとても立体的だし、
それなのにガラスが光っているようだった。


軟骨を青く硬骨を赤く」染色された透明標本は、
とても神秘的で美しかった。


みなさんにも、是非、静岡まで足を運んで、本物を見ていただきたい。
そして、旅の思い出に、この本を手元に置くのはいかがだろうか。


ーーー『それは、標本という名前からは、あまりにもかけ離れた存在。
そのたたずまいは、生物でありがならまるでガラス細工のような美しさ。』ーーー小学館 書籍帯より

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