迷い、闘い、悩み、決断する。♪ネタバレなし
この本との出合いは、中学一年生のときだった。
1人の読書好きな友人が、
「いまこれを読んでいるんだけど、とっても面白い。」と言っているのを聞いていた。
当時は講談社のホワイトハート文庫という
10代向けのレーベルから出版されていた。
学校で見せてもらったその本の
表紙のインパクトがとにかく凄かったことを、今でも覚えている。
その日のうちに上下巻とも借りて、2・3日の間、夢中になって読んだ。
中学生ともなると、
急に様々なことに恥じらうようになり、
急にいろんなことに敏感になり、
急に家族にこころを閉じたりするようになった。
いわゆる思春期の到来である。
己のこと、
周りとの距離感のこと、
ほんとうにいろいろなことを気にしていた。
本の中へ逃げ込むことは、私の重要な逃避手段でもあった。
この本は、
現実逃避させてくれる。
少し不思議な世界があり、
少し複雑な事情の登場人物がいて。
私はこの小説の中に没入することがいまでも好きである。
「「お捜し申し上げました」──
女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。
そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。
男とはぐれ一人彷徨(さまよ)う陽子は、出会う者に裏切られ、異形(いぎょう)の獣には襲われる。
なぜ異邦(ここ)へ来たのか、戦わねばならないのか。
怒濤(どとう)のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸(ほとばし)る。
シリーズ本編となる衝撃の第一作。」ーー新潮文庫 本編あらすじより
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